「残高16ドルなファイル係」
こうちやまのりふみのクウェート滞在記
出発前の心配事、なんと言っても 「英語が全く話せない!」 という点。そのあたりは会社もしっかりとわかっていて事前によく確認をしてくれていました。派遣先との打ち合わせ議事録には 「言葉については問題なし。現地では日本人と日本語の話せる現地スタッフとの仕事」 と書かれてあった。予想はしていたが大嘘だった。 〈第二回 私の英語は長崎弁〉 さて、私の英語力。高校時代は試験でいつも平均点×0.4(Y高校においての赤点ライン)あたりをうろうろしていたくらいでしかない。 作業を開始してみると、ひどいときには発電所の中央制御室に日本人が一人といった状況。運転業務担当、現場での補修担当、全て外国人。新顔なので珍しがって割と気さくにみな話し掛けてきてくれるのだが、いかんせんこちらが話せない。話せないというのが恥ずかしいのでなるべく遠ざかっていました。しかし仕事は仕事、記憶にあるありったけの単語を並べてなんとかしのいでいました。そんなときには通じるように発音に気が散る(Rの発音ってどうだったかなあ、など)し、相手の言うことを聞き取るのに必死でかなり怖い表情になっていました。 滞在二週間後、私の中での大事件が起こった!事務所での机上作業中に電話が鳴り、海外での作業にも多くたずさわりクウェート滞在も長い人が応対。その人の第一声、 「いえす、じすいず ○○ すぴーきんぐ」 文字にするとわかりにくいが、このまま日本語の発音だった。しかも完全に長崎弁だ。もちろんその続きはあったのだが、この一言が強烈に印象に残った。 「あれでえーんじゃー!」 学生時代に習った英語の発音。たとえばトマトは 「トゥメィトゥー」 といった感じだったが、所詮日本人には無理な発音であってトマトはやはり 「とまと」 なのである。これが不思議なくらいに通じる。これがまた一生懸命教えてくれた先生には申し訳がないが、高校の授業で習った英語が全く役に立たない!リーダーもグラマーも全然必要ない。逆に中学で習う英語、これは大事。これさえあれば生活に問題なし! それからは現地のスタッフと話をするが怖くなくなった。私は英語が苦手だということ知っているので、向こうが一生懸命に理解してくれようとしているのももちろんあるのだけれど、会話が楽しかった。仕事のことはもちろんだけど、国にいる家族の話、音楽の話、彼らはいろいろしてくれた。宗教のことを延々と話されるのはこまったが。これは長くなりそうなので別の機会にでも。一番使った言葉は「のーぷろぶれむ!」ですね。 余談になりますが、同じような機械が並んでいてそれぞれにA,B,C,Dと名前がついていたとします。たとえばポンプだったらA−ポンプなのですが、これをどう呼びますか?英語圏では大抵、Aならば「アルファ−ポンプ」になります。同じく「ブラボー」「チャーリー」「デルタ」となります。なぜかはわからないけれど、そう呼ぶと区別がつきやすいのは確かです。洋画などで耳にすることがあればそういう意味です。日本で仕事をしていても「びー」「でぃー」などは聞き取りにくいですし。私はそういうときには「びー」「だー」と言ってます。 さて、英語に自身がついた私、帰国して妻と二人で海外旅行に行きました。パックツアーではなくて個人旅行で。いろんなところをまわりながら妻が言ったこと、 「あんたの英語って長崎弁にしか聞こえん!」 帰国して数ヶ月後にはきれいさっぱり忘れてましたね。使わないとだめです。英会話の実力をつけたいという人、駅前ではだめですよ、実際に海外に行きましょう!嫌でも話せるようになりますから。 写真は勤務地から一番近い(約50km)町の風景です。 ![]() |