「残高16ドルなファイル係」


こうちやまのりふみのクウェート滞在記
みなさん、地平線を見たことありますか?日本では北海道の一箇所でしか見ることができないそうです。私が人生最初に見た地平線、それは一色で表せるものでした。

 

〈第一回 来るんじゃなかった〉
深夜バンコクを出発し翌日の早朝にクウェート着。その間は無事に乗り継ぎができたという安心感のせいか機内では熟睡でした。夜間飛行のためカーテン(?)は下ろした状態だったのと通路側の席だったので外の様子をみることもなくクウェート空港に着陸。
私の席から通路側の席の人がカーテンを上げたときに見たもの、それは!
こんな風景でした。(添付写真1)

「来るんじゃなかった…」

あとで私が見た風景は空港の建物や市街地とは反対の向きだったということはわかったけれども、不安は次々とやってくる。次は入国審査と荷物検査だ。酒は持っていない、豚肉もない、でもスーツケースの細部まで見るだろう。そうなったら妻が極限まで詰め込んでくれた荷物を元に戻せる自信はない。さてどうしようと思案する前にまず正規のビザをもらわないことには。
クウェートに入国するにはビザが必要です。しかも観光ビザというものは発行されていないという一般人が行くには大変やっかいなところなのです。私の場合はもちろん会社に全部してもらいましたが。パスポートのコピーなどを送りクウェートでビザが発行されます。そしてそのコピーを送ってもらい飛行機に乗る訳です。それで入国審査前のカウンターで正規のビザを受け取り入国という手順になります。
飛行機を降りて入国審査に近づくと入国審査官らしき人が叫んでいる
「じゃぱにー こしやー!」
どう聞いてもそう言っている。しかも手にはビザを振り回して。私だなこれは。パスポートとビザのコピーを見せるとなにも言わずに渡してくれた。入国審査、何も聞かれなかった。荷物検査、開けられもしなかった。あとで聞くと休日(金曜日)の早朝便なんてそんなものらしい。
空港を出るとでっかいインド人が声をかけてきた、
「○○○○(会社名)、こちま?」
どうも英語圏の人には呼びにくい名前らしい。残る問題はこのインド人が本当に私の迎えなのかという点だが、車に乗ってしばらく走ると寝てしまった。
どのくらい走ったのかはわからないが目を覚ましたときには砂漠のまっただ中。メーターを見ると150km/hだったが対象物がないのでそんなに出てるとは感じない。どこを見渡しても砂ばかりの光景だったが地平線上になにやら黒い点が見えてきた。それは送電線用の鉄塔だった。近づいたときに見たもの、それは!
こんな風景でした(添付写真2参照)。地平線の先まで延々と続いていく送電線と鉄塔。もしかして私の向かう発電所はこの終点なのか?(言い忘れていたが私の職業は火力発電所の技術屋さんです)

「来るんじゃなかったー!!!」