「残高16ドルなファイル係」
特別編


「エフヤマ愛の劇場・幻の脚本」
にゃんこ先生編

きのうのあした
                  by 徳山にゃんこ先生   

主な登場人物 
  沖田 優・・・・・八百屋の娘 高校の教師でもある。明るく、美しい24歳独身
           フランスでの絵画留学を夢見ている。
           唯一の難点は『誰にでも優しい』と言う事である!

  兼高 光次郎・・・外国航路の船員、1年に1回故郷に帰ってくる。
           『結婚するなら故郷の女性』と勝手に決めて17年、35歳
           情のある男だが、いつも『詰めの甘さ』で泣いている!

  鈴川 秋帆・・・・東和医科大学助教授、26歳独身 
           スポーツマンで外科医として優秀だが、
           『告白恐怖症』に悩まされている。・・・

  船長(マスター) 喫茶 『舵取り』のマスター 元漁師
           光次郎が、帰郷した時の下宿先 典型的な酒飲みである!
           優の叔父で、相談相手にもなる。
           










★帰郷して一目惚れ

大型船のエンジン音、潮騒、アクビしながら・・・・

光「あ〜あ、また、帰ってきちまった〜」

 「俺、兼高 光次郎、35歳 独身、外回りの船に乗り、
一年に一回、ふるさとの港町に帰る。
  両親の墓参りと、10年前から半分意地になって、(嫁さんは故郷で探す!)
という使命感?で、また、帰ってきてしまった・・・」
  
「外側、ツタの葉だらけで、そこに建物があるのかどうか、判らない喫茶店。
  そこが、しばらくの俺のスミカとなる。」

喫茶店に入り、ドアを開けて、ドアベルの音

光「おいっす!!船長」
 
船「船長言うな!キャプテンと言え!飯食わせて泊まらせんぞー」

光「だ誰がキャプテンなんや、漁船の船長」
 
 『この船長、いや、マスターは、昔、かつお船に乗っていたらしい。
年齢不詳、60は軽くまわっているだろう。
  俺が中学の時、よくサボっていた頃から、この喫茶『舵取り』は、あった・・・

  相変わらずのヒゲヅラは変わらない。本人はかなりのお気に入りで
  いつか「ヒゲを伸ばしている理由」を聞いてみたが、
「カッコいいから」と言う事らしい・・・
  似合うかどうかは、ここでは、あえて語らない事にしよう』

光「そう言えば、3人娘は元気か?船長」

船「あーみんな、この一年間で、どこの馬の骨ともわからん奴に、くれてヤッタ」
 「男親一人で、育て上げて、これだもんナ。つまらん、つまらん・・・」

光「み、みんなぁ?一番上のミチコちゃんは?」

船「あ、ミチコか?東京の商社で働いている。堅苦しい〜野郎が、かっさらって行った」

船「さっき、捕れたナマコだ。酢醤油で食べろ、コリコリして歯応えが有るぞ、焼酎飲め!」

グラスに氷の音

光「おいおい、いきなり焼酎ロックかぁ〜!お、このナマコ、美味いな〜
ココは確か喫茶店だよな(笑)」

光「で、二番目のユミコちゃんは?」

船「お、ユミコか?京都の旅館の息子とか言う、奴に持っていかれた」

光「じゃぁ、末娘のミコちゃんは?」

船「お、お前は、取調官か?堅い商売と言ったから、許したのにヨォ、
ヤカマシイ音楽を作る奴らしい俺は良く判らんけど、儲かっているんだと!
反対したって、もうダメだ!
どおりで、『髪の毛、赤い奴だ』と思ったんだよ〜
光「ハードロックのプロデュースか・・・・ロック(岩)た、確かに、硬いや」

ドアベルが鳴り、勢い良くドアが開く。

優『おじさん!頼まれた野菜ココに置いとくね!急いでいるからね、また後から来るね!んじゃぁ!』

ドアベル再び鳴り、ドアが閉まる!

光「おじさま、今の可愛い方、どなたぁ?」(憧れの人を見た口調で)





★優の夢
光「船長から、彼女の情報を得た・・・・」
 「彼女は、近所の八百屋の娘で、高校の美術の教師でもあると言う」
 「24歳独身、時々、仕事を終え、両親の手伝いをするらしい」
 「何と言ってもビックリしたのは、(彼女の叔父が、この船長だと言う事実)
  どう考えても、彼女の愛くるしい笑顔から、想像しがたい、いや、想像したくない」

再びドアベルの音

優「今日の仕事終了〜おじさん!ホットお願いします」

船「はいよ!さっき焼いたんだけど・・・パンプキンパイ食べるかい?」

優「わーい!食べたい、食べたい。おじさんの焼いたパイ、美味しいもん」

コーヒーカップが、テーブルに置かれ、スプーンと食器の触れ合う音

優「おじさん!今日はね、チョット相談したい事があるんだけど・・・」

船「なんだい?この前、話していた事かい?あ、こいつ、外に出しとこうか?」

光「お、おい、俺は、一体、何なんだょー
  あ、はじめまして!兼高光次郎と言います。外国をまわる船に乗っております。
  年齢は35歳で独身です!えーと趣味は・・・」

船「もういい、もういい、」

優「ふふふ(笑)・・・沖田優です!よろしく!良かったら話し聞いてもらいますか?
  他の人の意見も聞きたいのでお願いします。」

優「おじさん!私、フランスで絵の勉強を、一からやり直したいの、
  でも、お父さん、お母さんが反対なの、(絵の勉強なんてどこでも出来る)って」

船「優ちゃんの絵は凄いもんな、絵の事わからない、叔父さんでも感動するもんなぁ
  この前全国のコンクールでの最優秀の絵なんて、涙が出てきたもの・・・
  フランスには、優ちゃんの目標の先生居るんだよな」
光「おじさん!すぐ、フランスに行かせましょう〜やりたい事、やらなくちゃ
  鉄は熱いうちに打て、猫に鰹節、優ちゃんに絵画、すぐ行かせましょう〜」
 
船「お前に叔父さん呼ばわりされる、筋合いは無い!
  チョット待ってろ、優!やっぱり、コイツ海に流してくるから・・・・」

光「なんでだよー」

優「おじさん、やめて(笑)そうよね!今やらなくちゃね!ありがとう光さん」

光「光さんなんて、ハハハ・・・」

船「この叔父さんも、出来るだけ協力するよ!父さん母さんを、説得してみよう。」

優「ありがとう!おじさん。なんか心のツカエが、取れたみたい、本当にありがとう」

優「あ、それと、もう一つ、これは悩みではないのだけれど・・・・
  最近、夕方になると、ほとんど毎日、キャベツ一つだけ、買ってくれる。30代前半の男性のお客さんが居て、
  何か気になるの、(一体どうするのかなぁ)と思って・・・」

光「優ちゃん!そいつは、目を合わせる?」

優「そういえば、合わせない様な気がする。何かオドオドしたような・・・」

光「はは〜ん、そいつは、新手のストーカーか何かだな?」

優「ストーカー?そんな風には見えないけど・・・」

光「いや、最近は、訳わからん世の中だからなー、キャベツ爆弾かなんか作っているかもナ、
  意外と過激派で危険人物かも・・・」

船「訳わからなくて、危険人物は、お前だろうが〜」

光「優ちゃん、この件は僕に任せて、退治してみせるから・・・」

優「た、退治って!?」
ストーカーに意見する

光「その日は11月だと言うのに暑いぐらいだった。
  ストーカー野郎が出現するまでの時間は暇なので、
船長の相手をしながらコーヒーを飲んでいた。・・・・
  さ、そろそろかな?と外に出たら、何人かが一方方向に駆け足で走っていく
  どうやら、一人暴走族がバイクで無茶な運転をして電柱にぶつかった単独事故らしい
  そこにはライダー姿の若者が地面に横になっていた。
  それと、もう一人30代前半のメガネをかけていた、青年が介抱している様子で
  携帯で連絡していた、恐らく救急車を呼んだのだろう。
  しかし、周りのヤジウマが何も手助けしないでいいくらいにすべての事にたいして、手際がいいのだ・・・
(素人じゃない)と思った。」

優「どうしたの?」

光「どうやら事故らしんだ」
 「でも、あの人医者なのかなぁ?」
 「どうも、手際がいいんだ、やるなアイツ」

優「あ!」

光「どうしたの?」

優「キャベツの人!あの人」

光「え?あいつがか?あの野郎―」

優「ちょっと乱暴しないで」

光「お、お前か?ストーカーは?」

秋「ス、ストーカー?し失敬な!」

光「優ちゃんの所のキャベツ、買ってるだろうが毎日!」

秋「あ〜〜〜(ビックリした叫び)」

優「ワ、私、配達あるから・・・・」

光「優ちゃん、いずこへ? 」

秋帆の苦悩

光「優ちゃんは、あのまま、配達に出たままだ」
 「とりあえず、キャベツの人を半分無理やり、半分了解を得て船長の所に行く事に」

船「ムリ言ってスミマセン!こいつの無礼、お許しください」

秋「いえ、僕も、(疑われるような行動していた)と言われても、仕方ないので・・・」
 「私は、東和大学に勤めている。鈴川秋帆と言います。」

光「コイツ、いや、秋帆ちゃんはねぇ〜どうやら、優ちゃんの事、好きで、好きで
  タマラナイそうなんだけど、告白出来ないので、毎日、毎日、キャベツ買いに
  カヨッテいたんだそうな・・・

秋「兼高光次郎さん!その秋帆ちゃんと言うのは、止めて下さい!!」
  
光「なんだよぉ〜そっちこそ、フルネームで俺の事呼ぶな!」

船「なんで、好きな事、告白出来ないのだい?」

秋「僕だって、普通の男性のように、何人かの女性とお付き合いさせていただきました!
  でも、彼女は違うんです!
  彼女に、逢うと声が出ない、体が動かない、ドウキ、息切れ、めまい、鼻血まで出てしまうのです!
  一人の時は、彼女を想うだけで泣きたくなるのです。」

船「君は本当に優の事、大切に思ってくれているんだなぁ〜
  人を好きになる時は形じゃないんだ!その気持ちなんだ!ありがとう。
  なぁ、光!お前なんか、そこの所、一番わかるのじゃないか?」

光「う!(ぐうの音も出ないような声)」・・・

撃沈

光「でも、コイツ、このままじゃ、進展は望めないのじゃないかなぁ
  すぐ、フラレるのがオチだぜ!」

秋「うー(悲痛なうめき声)」

船「んーヨシ!こんな時、昔のならわしに従おう」

秋 二人同時に・・・
光「ならわし!?」

船「そう、この土地に昔から、古くから伝わる恋を実らせ
  好きな人と添い遂げる秘法」

光「そ、そんな事、長い間、ここに住んでいたけれど、聞いた事無いぞぉ」

船「なにせ、それを行ったのが、35年前だからな、お前は知らないだろう」

光「あ、危ないのかょ〜 その秘法は?」
 
船「さ、それはどうかな?それは本人のやる気次第だ」

秋「ボク、やります!やらせて下さい!!」

光「その夜、携帯にメールが入っていた!ヤツからだ」

秋「明日の朝、決行します」

光「と、一言
  アイツは本気なのか?
  早速、船長に連絡をとった。」

船「そ、そうか、明日朝決行か?ヨシ、婦人会に連絡を」



光「婦人会?」

船「そ、それは気にしなくてよろしい」

光「船長、問題はその秘法を決行した日の夜の夢なんだな?」

船「その通り!夢に双子の姉妹が現れて、
(あなたの幸せのゆきさきは、ココにあります)と言い」
 「その後に好きな彼女が現れれば、達成される」



光「翌朝、午前5時30分、ヤツは来ていた」「負けられない!」
 
光「ヨッ、やっぱり、挑戦する?」

秋「はい!光さんは?」

光「お前の監視役だよ」

秋「勝手にしてください、僕は一人でやりぬきますから」
 
光「まず、この岬から飛び込み、向かいにある水谷島まで、約一キロを泳ぎ切る」
 「島の神社にある、鳥居の上に、太陽が昇るとき、
一糸まとわぬ姿となり階段を駆け上り
  ほこらに向かい一礼して、二つ手をたたき、真言を唱える。」
光「おぉー船長の船が見える。藤井丸だ、心配しているのか?」

海の波の音、風の音

光「しかし、話がずいぶんと違うな、2〜3mの岸壁と言ったが・・・
  どうみても5〜6mの絶壁だな、この『ふんどし』で死んだら情けないな〜」

秋「タカ、タカ、高すぎるんじゃ、ないのでしょうか?」

光「ブラックホールみたいに、入ったら出てこられないなんてナ、」
秋「ボク行きます!」
 
光「ヨシ、俺について来い!」

飛び込む音

光「あれ?意外と速いのね〜ドンドン、離されていく」

秋「お先に」

光「それから、ヘトヘトになりながら、やっと、島の浜辺に到着した。」
 「やつは、目の前にある神社の階段を、一糸まとわぬ姿で駆け上っていて
 (ヨシ、俺も、いっちょ行くかー)と、同じ姿になり、後を追う。
 その頃には、二人の姿を朝日がスポットライトように美しく照らすのであった・・・
 神社の儀式を済ませて、先に終えたのは、キャベツ野郎だった。」
 
光「完全に負けた・・・・争いでも、体の一部でも、全てにおいて・・・」  

光「翌日、やつの姿は、八百屋の前にあった。」


告白
優「今日も忙しくなりそうネ!行ってきます。お父さん、お母さん。」

秋「おはようございます!」

優「あ、おはようございます・・・」

秋「僕、」

光「ちょっと、マッタ!!言うんだな?見たんだな、夢?」

秋「ハイ!!」

優「ちょ、ちょっとなに?二人して・・・・」

秋「優さん!」

優「ハイ!」

秋「僕は、あなたが好きです!」

秋「僕は、優さんを全ての悪から守り、優さんを幸せにする自信があります!
  どうか僕と結婚を前提として付き合って下さい。」

優「あ、ありがとう。」
「私、あなたの気持ち、お店に来てくれている時から、気が付いていたの・・・
 そして、素直に私、嬉しかった。ありがとう!」
「でも、私は、まだ、自分の目標があるの!!」
元気よく、茶目っ気たっぷりに・・・
「だって、もう、フランス行きの手続きしちゃったんだも〜ん!!」

一同こける音

光「おい、キャベツ男、鼻血出てるゾ」

秋「僕も男らしく、優さんを応援します。また、いつか優さんにリベンジしますヨ」

光「お、お前、強くなったなぁ〜しかし、チャンと夢見たんだろ?」

秋「実は、亡くなった母親の夢を見たのです。」

光「おかあさんの?」

秋「僕は、外科医で、母が余命幾ばくも無いと、知った時、何とか助けたいと思い
  手術をしたのですが結局、だめでした・・・
 それから、母に申し訳ない気持ちが、心のわだかまりとなり、
 きっと心が弱くなっていたのですね。
 昨日、見た夢で母が出た時、(母がにっこり笑っていたんです!)
 朝、目覚めた時、僕は生まれ変わった気分でした・・・」

船「良かった、これで秋帆君も、また、一つ大きくなったな!」
光「あっ、このオヤジ、よ、よくも、だましたなー」

優「どうしたの?」

光「あの、ならわしは、もう一つ裏があり、あの神社の集会場に
婦人会のオバちゃん連中が集まり、観戦していたんだ。
(参加した男の勇姿を見たものは、幸せが訪れる)と言って
みんなで俺たちのすべてを見ていたんだ!」

秋「エーー?」

光「だから35年もの間、知っている男達はやらなかったんだ!」

船「ま、いいじゃないか、小さい事言うな」

優「もしかして、35年前の男の人って、おじさん?」

秋「そ、それじゃ、自分が恥ずかしい想いをしたんで、今度は、ぼ、僕たちに?」

船「ま、いいじゃないか、小さい事言うな」

旅立ち

船の音、波の音、ウミネコの鳴き声

光「こうして、また故郷での嫁取りは失敗に・・・
  しかし、よく考えてみると、自分が本当の(告白恐怖症ではないか?)と
  今頃気がついた。俺って一体?
  来年こそ、嫁さん見つけるぞー                   おわり


おっきーのコメント
これもう、ほんっと、あのストーリー自体はよく意味がわからなかったんですけど、
リスナーさんの名前が強引に登場してて、ええ、FM山口への愛を感じましたね。